7日、梅野の中犠飛で植田が生還し喜ぶ矢野監督(撮影・鈴木正人)
7日、梅野の中犠飛で植田が生還し喜ぶ矢野監督(撮影・鈴木正人)

虎党みんなで赤パン大作戦だ! 巨人とのCSファイナルステージに臨む阪神矢野燿大監督が(50)が、高原寿夫編集委員にCSバージョンの験担ぎを明かしていた。連日掲載の名物コラム「虎だ虎だ虎になれ!」で、取れたての秘話をたっぷりお届けします。

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さあ、巨人との決戦だ。指揮官・矢野燿大のテンションはマックスまで高まっている。驚かされたのは7日、DeNAを振り切り、CSファイナルへの出場を決めた後の行動だった。

うれしそうだったし、こちらも盛り上がっているので「よっしゃーっ」と握手した。これは普通。だがそこからが違った。矢野は右手を離さない。そしてグッと引き寄せるとこんなことを言った。

「やったった! 作戦決行ですわ! ついにユニホームの下にはいたった! 赤パン大作戦ですわ!」

DeNAとのCSファーストステージを前にした4日、矢野は阪神担当記者キャップ、通称虎番キャップたちにある験担ぎを明かしていた。縁起がいいとされる赤パンツをはき続けていることだ。現役時代は験担ぎをしないと強調していたが、やはり指揮を執る立場になると見えないものに頼りたくなるようだ。

そして5日の1戦目前。こちらも赤パンツをはいてきたでというと「もうエエって!」と言った。しかし劇的逆転勝利を決めた後、「赤パンのおかげ!」と興奮してハイタッチをしてきたとこのコラムに書いた。

興奮してるな、と思ったがそれは続いていた。2戦目に負け、決戦の3戦目。矢野はこれまで行わなかった「赤パン作戦」に出たという。こういうことだ。

赤いパンツをはくといっても、それはユニホームに着替えるまでのことだ。通常、ユニホームの下はスライディング・パンツ、通称スラパンをはく。元々は滑り込んだときにケガをしないように厚手のものだったが最近はレベルが上がり、その機能プラス、筋肉を締める効果があるものだ。選手でなくてもユニホームの下は通常、それにする。

しかし後がなかった3戦目、矢野はスラパンではなく、赤いパンツのまま戦いに臨んだという。赤いスラパンを買えばいいのでは…とも思うが、とにかく勝負に出たのだ。

野球に興味のない冷静な人からすれば「ばかばかしいことを…」と思うかもしれないが勝負事にはこういうものは欠かせない。ワラにもすがる思いで赤いパンツをはいた矢野の気持ちは理解できる。

そして巨人戦だ。今季煮え湯を飲まされた相手に東京ドームでひと泡吹かせる。そのためにも間違いなく、矢野は試合中も赤いパンツをはくのだ。ここまで来たら虎党もいかがか。(敬称略)

7日、CSファイナルステージ進出を決め笑顔でナインとハイタッチする矢野監督(撮影・加藤哉)
7日、CSファイナルステージ進出を決め笑顔でナインとハイタッチする矢野監督(撮影・加藤哉)