侍ジャパン世界一へ。「プレミア12」のスーパーラウンドが始まった。しかし虎党にはある嘆きがある。「阪神の選手が1人もおらんやないか!」。その通り、阪神から1人の名前もない。代表選手がいないのはロッテと阪神だけだ。

12球団選抜だし、やはり1人ぐらい入っていてもなあ…と思ったら、いた。選手ではない。ヘッドコーチの清水雅治が外野守備・走塁コーチで参加している。台湾ラウンドの初戦ベネズエラに勝ったタイミングでチラリと連絡してみた。

「そうですね。来年の東京五輪はハルト(高橋遥人)と梅野(隆太郎)とかが行ってくれると期待してますけどね…」。そんな話だった。しっかりプッシュしてほしい。

それはともかく梅野は2年連続の「ゴールデングラブ捕手」だ。選ばれてもおかしくなかった。虎党、さらに関西マスコミで最近よく出るこの話題。チーム内でもバッテリーコーチの藤井彰人などは「2年連続ゴールデングラブ取って代表に選ばれてないん?」などと軽いイジリを入れているらしい。やはり聞いておかなくてはいかん。

「そうですね。こっちは選ばれる立場なんで何とも言えないですけど。やはり寂しさはあります。東京五輪ですか。主目的ではないけれどチャンスがあればそれは行きたいですよね」

東京、千葉での代表の戦いを横目に高知・安芸キャンプで鍛え続ける梅野は率直に話した。最終選考までは残っており「パスポートは用意しておいてください」という連絡も受けていた。それだけに選ばれなかったことにすこし落胆はあるようだ。

今回選出されているメンバーを見れば梅野とかぶっているのは広島の会沢翼だろうか。4連覇を逃したものの勝負強い打撃は今季も光っていた。

それでもビシバシの強肩、ワンバウンドをうしろにそらさない捕手としての梅野の実力は野球ファンなら知るところだ。これで打率も本塁打数もさらにアップし、本格的に「打てる捕手」となれば選ぶ方も黙っていない。

野球競技にとっても節目になる2020東京五輪での野球。阪神悲願の優勝、そして3年連続のゴールデングラブを目指す梅野が、それこそ高橋遥人や猛虎投手陣とともに侍ジャパン入りすれば、プロ野球が休止する五輪期間も虎党はじっくり楽しめる。(敬称略)

10時56分キャッチボールする梅野(撮影・上山淳一)
10時56分キャッチボールする梅野(撮影・上山淳一)