2日の巨人戦勝利、どこがよかったかと言えば8回の追加点だったと思う。大山悠輔が2回に文句なしの1発、5回にはプロ野球で大量点になりやすいとされる下位打線からのつながりで2点を挙げた。

エース西勇輝も本当によく投げたし、やられっ放しの巨人に対していい攻撃だったが少し物足りない思いもしていた。終盤の追加点がなかったからだ。

広島3連覇監督・緒方孝市(日刊スポーツ評論家)は当然ながら豊富な野球観を持っているが、その中に救援投手についての考え方もある。

「リリーフ投手の意味は思っている以上に大きいんですよ。勝っていれば当然ですが負けているときでも相手打線を抑えれば次の試合につながっていく。逆にそこで打たれれば、またダメージが残るんです」

そんな意味のこともよく聞いた。なるほどと納得していたのでその言葉を思い出しながら試合を見ていた。すると巨人先発の今村信貴こそ攻略し、3得点はしたのだがその後が続かない。その流れで8回に西がウィーラーに被弾すると一気にいやなムードが漂った。

3-1で9回か-と正直、不安に思った8回にようやく追加点が取れた。そのキッカケになったのが高山俊だった。これがいい。この日の打撃で見せたように内角低めの変化球を独特の感性ですくい上げた。

正直、四半世紀前に連日、取材したイチローを思い出させる技術だ。こんな打撃のできる男が2軍で何をウロウロしている、とため息をついてしまうのだが、なかなか難しいのだろう。

「緊急招集組」の1人である高山だが、同時に上昇への“最後のワンピース”ではないか。スタメンでも代打でも、高山が打てば阪神は乗るはずだ。

これで2連勝の阪神だが、巨人に比べて劣っているのが大型連勝がない点でもある。今季は7月の5連勝が最長。昨季は終盤に6連勝し、3位に滑り込んだのだが今季はそこにも到達していない。

藤浪が中継ぎ起用で輝きを取り戻してきた。次は高山だ。9月25日に“緊急事態”に陥ったがそこから1週間で7試合を戦い、これで4勝3敗。しかし「このメンバーでもいける」と言い切るにはまだ足りない。優勝の行方はともかく、異例のシーズンとなった今季、1度は大型連勝を見たい。そこで高山の力を発揮してほしいと思う。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)