阪神に新加入するメル・ロハス・ジュニア外野手(30=韓国・KT)とラウル・アルカンタラ投手(28=韓国・斗山)の来日が2月の春季キャンプに間に合わないかも…という記事が日刊スポーツに載っていた。

球団副社長兼本部長・谷本修がキャンプ中の合流について「厳しいかも分からないですね。今の状況だと。査証(ビザ)手続きが進まない状況。完全に止められている状態」などと説明したからだ。

政府は新型コロナウイルスの変異種が流行していることを受け、1月末まで外国人の新規入国を停止するとしている。新加入の外国人もこれに該当するのではということが理由だ。

こんなニュースに接すると直接関係ないが、キャンプに向けてワクワクする気持ちが出てくるし、球春が近づいてきているなと実感する。ここで言いたいのはキャンプの合流時期に過敏になる必要はないのでは、ということだ。

「メジャーのキャンプ招集は2月中旬。日本に来る選手は2月1日のスタートを『早い』と思っているのが普通だ。彼らは開幕に合わせて試合で作っていく。さらに言えば開幕してもしばらくはフル回転もしない。逆に言えば2月の体作りは自分でするのが当然と思っている」

過去に代理人を務めるなど日米の球界に精通している人物はこんな話をした。これまでの取材における実感でもキャンプに最初からいたから活躍する保証はないし、日本のキャンプをほとんどやらずに結果を出すケースもある。

もちろん選手、関係者、そしてファンへのお披露目という側面もあるので最初からキャンプに参加できればそれに越したことはない。それでもシーズンへの実質的な影響はあまりないのでは、と思っている。

それより大事なのは日本流を理解させることだろう。先発投手は米国と違って長く投げるケースもある、野手にしても「徐々に…」と言わず最初から全力でやってほしい、チームプレーも日本はさらに細かいなどという点をしっかりと伝えることである。

もっとも阪神に新加入する2人は「日本より厳しい」(前出関係者)という韓国球界でプレー経験があるし、そんな心配もないかもしれないが。

「外国人に遠慮はしないが配慮はする」。闘将・星野仙一の言葉は永遠に生きている。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)