高校時代は踏めなかった甲子園のマウンドに初めて立ってプロ初勝利をマークか。やはり佐々木朗希は何かを持っているのだろう。それにしてもロッテは“豪華リレー”だった。

2番手・佐々木千隼も16年ドラフトで5球団が“外れ1位”で競合した末に入団した投手だ。4番手・唐川侑己は07年の高校生ドラフトで2球団競合の末、ロッテ入り。クジ運が強すぎる。関係ないけれど3番手ハーマンは世界的名門・ハーバード大を出ている。やはり豪華だ。

9回を締めたクローザー益田直也を含め、ロッテの繰り出す継投策の前に阪神打線は6回以降、無得点。逆に阪神救援陣はこらえ切れなかった。若い佐々木朗から4点を奪ったものの逆転で敗戦。「力負け」だ。

負けた要因はいろいろあるだろうが気になるのは梅野隆太郎の打撃不振だ。今季、得点圏打率トップを走るなど勝負強さが光っていた男のバットから快音が途絶えている。

7番を打つ梅野、この日も好機で打席が回った。2回、同点にした後、なお無死一、二塁のチャンスで空振り三振。4回にも見逃し三振を喫すると5回、2死一、二塁では遊ゴロに倒れた。このときは前打者の6番・佐藤輝明が敬遠された後だった。

15日巨人戦(東京ドーム)の9回に二塁打を放ったのを最後にこれで21打席無安打。8回1死二塁では代打を送られた。その糸井嘉男も三振に倒れ、阪神は意気が上がらない。

昨年の開幕巨人3連戦は“日替わり捕手”だった。「悔しかったですね」。梅野は率直にそう話したこともある。その時点で2年連続ゴールデングラブを受賞。球をそらさない献身的な守備を含め、中心選手なのは間違いない。

「試合に出ないことで成長することもある」。指揮官・矢野燿大は昨年、その狙いを語ったが今季は完璧にスタメンマスクを任せている。それに応えて守備はもちろん、打撃で期待以上の働きを見せてきた。後ろに梅野が控えることで6番・佐藤輝明にも好影響をもたらしているはずだ。

選手はみんな未経験の“首位独走”。正捕手として疲れもあるだろう。いろいろな部位に痛みも感じているはずだ。何より長いシーズン、いいときばかりではない。少し休ませるのか。とことん行くのか。いずれにせよ梅野の“復活”なくして悲願の優勝はない。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)