序盤からこんなに楽々と、しかも2試合続けて、虎党がゲームを見ることができたのは今季初めてだろう。得意の横浜スタジアムで連勝し、これで通算14勝26敗1分け。「1勝2敗ペース」から脱出できた! と言っても、ほんの少しだけ、あくまで数字上の話で大量の借金生活は変わらないのだけれど-。

とにかく期待の佐藤輝明に2発が出て虎党のフラストレーションを吹き飛ばす試合ではあった。結果だけ見れば打ち勝ったものだが、やはり、序盤から守りを含むディフェンスの差が出た試合だったと思う。

1回、立ち上がりに苦しむDeNA東克樹から2四球で一死一、二塁。しかし4番佐藤輝、5番大山悠輔が連続三振し、無得点に終わった。負けを予感させるイヤな展開である。

しかし、その裏だ。こちらもウィルカーソンが連続三振したもののソトが放った三塁線の当たりを佐藤輝が悪送球してしまう。失策がついたのは気の毒な感じもするボテボテのゴロだったが、これで2死一塁。ここで昨季の新人特別賞・牧秀悟はセンター返しに出た。

一瞬、抜けるかと思ったものの、この打球に遊撃・中野拓夢が回り込んで追いつき、二塁カバーの糸原健斗にバックトス。ファインプレーというほどの動きではなかったかもしれないが自然な守りで危機を未然に防いだのである。

もっと言えば1回、関根大気の打席でバットのグリップに当たった球をそのままミットに収めた梅野隆太郎も冷静だった。梅野は4回にも得意の“バズーカ”を決めており、5回の犠飛同様、守備でもいいところを見せたと言える。

最大の場面は2回だ。2死二、三塁から近本光司が左翼に放った当たりを宮本秀明が目測を誤った感じで頭上を抜かれてしまう。これで先制できたのは大きかった。その直前、ウィルカーソンがきっちり犠打を決めていたのもいい。5回にも犠打野選を呼び込む絶妙のバントを転がしており、これで今季3個の犠打をマーク。投球同様に勝利に貢献している。

DeNAは5回にも牧が足がもつれる感じで二ゴロをさばけず、失点のきっかけをつくるなど拙守が目立ち、この試合に限れば両軍のそこに差があった。さあ、横浜でつくったいい流れをつなげていけるか。「この2試合がきっかけになれば」という指揮官・矢野燿大の思いは虎党も同じだ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

DeNA対阪神 4回裏DeNA2死一、三塁、牧(右)の二塁盗塁を阻止する中野(撮影・菅敏)
DeNA対阪神 4回裏DeNA2死一、三塁、牧(右)の二塁盗塁を阻止する中野(撮影・菅敏)