現状を考えれば、いきなり苦しい試合になった。先発・伊藤将司が乱調で2回までに6失点。2回にまわった最初の打席で代打を送られ、わずか49球で降板となった。序盤の6点を取り返す勢いは今の阪神打線にはないかもしれない。

それでも6番に入った森下翔太が4回に3号ソロを放ち、5番に戻った佐藤輝明も適時二塁打。さらにブルペン陣は相変わらずの奮闘で3回以降、失点はなし。連日、大入り満員の甲子園を少しは沸かせる部分もあったゲームか。

それにしても今季はよく打線が変わる。ここまで11試合でこの日が9通り目のラインアップとなった。当然、投手は除く。昨季の同時期では6通りだったので単純計算で1・5倍だ。

38年ぶり日本一に輝いた昨年は、打順が固定されていたのが売りだった。シーズン通して69通り。これは12球団で最少だった。どっしりした打線でしっかりと得点を重ねて勝っていったのだ。だが今季は、はや9通り目。11試合で9通りは毎試合、変わっている印象かもしれない。

特に変化が多いのがクリーンアップだろう。東京ドームでの巨人3連戦からDeNA戦(京セラドーム大阪)の2戦目までの5試合での並びはこういう感じで不動だった。

3番・森下翔太

4番・大山悠輔

5番・佐藤輝明

しかし6戦目の今月4日DeNA戦から、この日までの6試合でここが5通りになっている。そして、この間、2試合続けて同じパターンはないのだ。“異常事態”は言い過ぎだけど昨季とはやはり違う。

「並びが安定しないって。そういう意味じゃなく、適材適所でいこうということだから」。ヘッドコーチの平田勝男はそういう表現をした。敵に弱みを見せるわけにはいかないので当然である。実際、この日は5、6番で一応の結果が出たのだ。

出場している選手にしても前川右京とノイジーが入れ替わるだけで顔ぶれは同じ。だからこそ相手との相性、その日の調子などで打線を組んでいるのだろうが大山の調子も上がってこないし、正直、苦しい日々が続く。とはいえ、まだ開幕4カード目。まずは対戦がひと回りする12日からの中日3連戦(バンテリンドーム)後に、どうなっているかだろうが落ち着いた戦いを続けるためにも、もっと白星はほしい。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

阪神対広島 4回裏阪神2死、森下は左越えソロ本塁打を放つ(撮影・加藤哉)
阪神対広島 4回裏阪神2死、森下は左越えソロ本塁打を放つ(撮影・加藤哉)
阪神対広島 8回裏阪神1死、大山は三振に倒れる(撮影・上田博志)
阪神対広島 8回裏阪神1死、大山は三振に倒れる(撮影・上田博志)
阪神対広島 6回裏阪神2死一塁、佐藤輝は左翼へ適時二塁打を放つ。投手はアドゥワ(撮影・加藤哉)
阪神対広島 6回裏阪神2死一塁、佐藤輝は左翼へ適時二塁打を放つ。投手はアドゥワ(撮影・加藤哉)