「鈴木尚+中田+新庄」=オコエだ。高校野球特集第2回は、日刊スポーツ記者が全国の有望選手にスポットを当てる「ピカイチ打者編」。ナイジェリア人の父を持つ関東第一(東東京)オコエ瑠偉外野手(3年)は、走攻守3拍子そろうドラフト候補だ。「走」「攻」「守」とも、それぞれのトップ選手を理想に、レベルアップを図る。

 全身バネのような肉体で、オコエはダイヤモンドを駆け回る。5月の練習試合、コザ(沖縄)戦では、95メートル先に張られた約10メートルの左翼ネットを越える特大の場外弾を放った。内角直球をとらえた一打に、「内角は一番の課題。自信がつきました」と喜んだ。左太もも裏を肉離れしていたため、1打席限定で出場した試合。手負いの状況で、末恐ろしい1発を放った。

 俊足を生かした守備に、強肩。グングンと加速する、野性味あふれるベースランニング。「1番中堅」として、「走攻守、すべてでレベルアップしたい」と志は高い。理想に掲げるのは、一芸に秀でた球界の“レジェンド”たちだ。

 「走」…巨人鈴木尚。代走の盗塁数日本一のスペシャリストからは「重心の低さと、盗塁する時のスタンスの広さ」を学ぶ。50メートル走6秒2だったタイムは、ひと冬越えて5秒96に大幅スピードアップ。

 「攻」…日本ハム中田。投球に対して、バットを当てる角度を意識し「中田さんのように、ボールにバックスピンをかけて、伸びを出したい」。4月の東京大会までは通算19本塁打だったが、約2カ月で16本を量産し、現在通算35本塁打。

 「守」…元日本ハム新庄剛志氏。「新庄さんの投げ方。捕ってからのスローイングを参考にしています」。ダイナミックなフォームから、遠投120メートルの強肩で進塁を許さない。

 各選手の映像をユーチューブなどで研究して、取り入れる。父ボニーさんから、サッカー選手になって欲しいと願いを込められ、ラモス瑠偉(FC岐阜監督)の「瑠偉」をもらった。それでも本人は野球一筋。高校野球が終わったら「1度行って、見てみたい」とナイジェリアを初めて訪ねる予定だ。遠くアフリカ大陸を思い、戦う夏。自分のルーツを探る旅は、もちろん甲子園に出てからと決めている。【前田祐輔】

 ◆オコエ瑠偉(るい)1997年(平9)7月21日、東京・東村山市生まれ。小1から捕手として野球を始める。小6からジャイアンツジュニアに入り、外野手に転向。東村山六中では「東村山シニア」に所属。関東第一では2年春からベンチ入り。家族は両親、妹。183センチ、86キロ。右投げ右打ち。