2年ぶりの甲子園出場を狙う日大三(西東京)のスピードスター・田中達朗内野手(3年)が、試合時間1時間4分の5回コールド発進に導いた。2回にチーム一の50メートル5秒8の快足を生かして適時三塁打を放つと、4回にも右前打と二盗で追加点に貢献。5回には左中間への2点適時二塁打で決着をつけた。3安打3打点の2番打者は「初戦で少し緊張したけど、最近調子が良かったので自信はあった」と笑顔。小倉全由監督(58)も「夏は省エネも必要。5回で終わったのは良かった」と喜んだ。

 打撃面の進化も証明した。2回の右越え三塁打と4回の右前打は、片倉の最速141キロ右腕・矢ケ崎光投手(3年)の直球をとらえた。冬場の振り込みでスイングスピードは7キロ伸び、今大会前の計測で112キロを記録。チームでは「下のほう」と苦笑いするが、今春だけで6本塁打を放った。小倉監督も「(5回は)左中間に飛ばしたし、長打力が付いてきた」と目を細める。

 自慢のスピードは野球で威力を増す。神奈川・厚木玉川中では陸上部に所属。400メートルで県大会で3位に入った。自己ベスト50秒は女子日本記録を1秒75上回る速さで「直線よりカーブを回る種目のほうが速いので、ベースランニングは得意」と胸を張る。本職は二塁手だが守備範囲も広く、春の都大会では中堅手で優勝に貢献した。「後ろに良い打者が並んでいるので、つなぐことを意識している」という田中が、2番に座る日大三打線の破壊力は計り知れない。【鹿野雄太】

 ◆田中達朗(たなか・たつろう)1997年(平9)8月4日、神奈川・厚木市生まれ。小3から長谷スポーツ少年団で野球を始める。厚木玉川中では相模原ホワイトボーイズに所属。日大三では2年秋からベンチ入り。50メートル走5秒8。右投げ左打ち。181センチ、75キロ。家族は両親と兄、姉。