プロも注目する“二刀流男”が投打に奮闘した。全国高校野球選手権大会(8月6日開幕、甲子園)西東京大会で、東海大菅生(西東京)の「しんちゃん」こと勝俣翔貴投手(3年)が、通算24号2ランをマーク。投げても2番手で3回2/3を1失点に抑えて勝ち投手となり、自らの18歳の誕生日を祝った。

 東海大菅生・勝俣のバットが、大会3試合目にして目を覚ました。5回1死二塁。内角速球を強振すると、打球は右翼席後方の防御ネットを直撃した。「やっとという感じです。自分のスイングができたと思います」と話した。

 ちょうど18歳の誕生日。8強入りをかけた試合だった。「今まで誕生日に試合がなかったんで、打つのは初めてです」と笑った。3回に3番江藤がソロ本塁打した。勝俣にも力が入ったが、5球ファウルを打ち10球目に四球を選んだ。「ファウルして自分のスイングができてきた」と感じた直後に、今大会初、通算24本目が飛び出した。

 エースには2試合ぶりに投手の出番もやってきた。7回1死一塁。スライダーの制球が定まらず、8回には3安打を許し同点にされた。「しょうがないです。でも勝ち越しはさせないと思いました」。実は自らの走塁ミスで招いた同点だった。7回、三塁走者の際、右飛で生還したが、タッチアップが早く、アピールプレーで取り消された。「しっかり走ったつもりだったんですが」と照れた。

 言葉通りに追加点は許さず、延長10回の末に5-4で逃げ切った。打っては3打数2安打2打点、投げては3回2/3を1失点の勝ち投手だ。元中日投手の若林弘泰監督(49)は「落ち着いてやればいいのに、しゃかりきになっている」と評した。その勝俣は「甲子園に帰りたいですから」。目覚めた二刀流男は、センバツで敗れた舞台に、あと3勝と迫った。【米谷輝昭】