仙台育英(宮城)が秋田商との東北対決を制し、準優勝した89年以来26年ぶりに4強入りした。最速146キロの右腕エース佐藤世那(3年)は、変化球主体の投球で9安打7奪三振3失点完投。あす19日の準決勝で対戦する早実・清宮に対し「気持ちで負けない」と闘志をみなぎらせた。東北勢初の栄冠まであと2勝だ。

 仙台育英のエース佐藤世はどんな時も動じなかった。6-1と5点リードで迎えた9回裏。連続空振り三振で2死をとった後「早く終わらせたいと投げ急いでしまった」。四球と2連打で2失点。3点差に詰まり、球場全体が秋田商を応援する拍手で包まれた。それでも「自分への応援と言い聞かせた」と表情は変わらない。最後はピッチャー返しの打球をグラブに収め、26年ぶりの4強を決めた。

 準決勝の相手は早実に決まった。甲子園で2戦連続ホームランを放った清宮をどう抑えるのか。「ホームランバッターで、流し打ちもできる。インコースをしっかり攻めないと」と分析。球場の異様な雰囲気にも警戒し「変に意識しないで、気持ちで負けないようにしたい」と意気込んだ。

 「今日は状態が悪かった。昨日が100とすれば50」と振り返った。「走っていない真っすぐをいかに速く見せるか」と、あえて130キロ台前半の直球を多投。得意のフォークボールにも緩急をつけ、的を絞らせなかった。「経験があるから」と言った。昨夏の宮城大会4回戦では延長13回に本塁打を浴び、先輩の夏を終わらせた。その秋の神宮大会で優勝投手になった後には、右肘を剥離骨折。2年半の高校野球人生で、成功も挫折も十分味わってきた。「いい経験も、悪い経験も。それが(自分にとって)大きい」。

 花巻東(岩手)と秋田商を倒しての準決勝進出。東北勢初優勝の期待を背負い、佐藤世は「ここまで来たら、自分たちが勝たないといけないと思っている」と力強く言った。第1回大会出場の早実に追い風が吹いていても、清宮がどれだけすごいルーキーでも、セナには負けない理由と自信がある。【高場泉穂】