第2シード・北越の夏は、打撃爆発で幕を開けた。新潟工に14-1で5回コールド勝ちした。1-1で迎えた1回1死満塁の場面で、岡元佑起(3年)が右中間への豪快な満塁本塁打。ゲームの流れを一気に呼び込み、大勝した。

 滞空時間の長い打球が、ゲームの流れを一気に決めた。1-1の1回1死満塁。カウント2ボール1ストライクから、岡元は狙い球の直球を振り抜いた。「いい弾道だったので、入ったと思った」という満塁弾は、両翼98メートルのフェンスを越えて右中間芝生席に吸い込まれていった。

 1回表に新潟工に1点を先制された。小島清監督(41)は「失点でスイッチが入った」と振り返る。押されたスイッチに反応して、爆発したのが岡元のバットだった。満塁本塁打を含む3打数3安打5打点の大暴れ。「意識していた“振り切る”はできた。調子はいい」と言う。

 好きなプロ野球選手はソフトバンク柳田悠岐(27)。「豪快に振り切る」フォームの動画を何度も見て、参考にしてきた。そんな“師匠”のスイングそのままに、岡元はバットを振った。オフシーズンに取り組んだウエートトレーニングの効果が、ひと冬越えて表れた。公式戦の本塁打は今春の準々決勝・新発田南戦以来2本目だった。

 小千谷市出身の岡元は親元を離れて寮生活をしている。毎日の練習で汚すアンダーシャツは3枚。「洗濯が大変」と言う。しかし、そんな苦労を岡元は苦とは思わない。今春は県大会準優勝。明確な目標の甲子園が、もう少しで手が届く位置にあるからだった。「優勝を狙っている。1戦1戦抜かりなく打っていきたい」。岡元は上だけを見据えていた。【涌井幹雄】