弘前学院聖愛があと1点でコールド負けの崖っぷちから大逆転。弘前工を10-8で破り、2年ぶりの準決勝進出を決めた。2-8で迎えた9回表、6番市川修斗三塁手(2年)の逆転3ランなど打者13人、7安打で一挙8点を挙げた。4回戦の八戸工大二戦も0-5から7回に一挙9点を挙げ、12-5(8回コールド)で勝利。2試合連続大逆転の聖愛が、3年ぶりの甲子園へ前進だ。

 首の皮一枚、土俵の徳俵から息を吹き返した。8回裏、2-7と差を広げられ、なおも2死二、三塁から相手打者に左前打を打たれた。三塁走者がかえり2-8。二塁走者も本塁を突いたが、バックホームで刺した。この走者が生還していれば2-9。コールド成立で試合は終わっていた。

 9回表、猛反撃に転じた。市川の左越え3ランで9-8と逆転。1番小西巧(3年)の左前適時打で10点目を挙げた。遊撃手と投手を2度交代した小西は右足がつり、治療で20分ほど試合が中断。再開後、マウンドに立った小西が最後は投ゴロ併殺に打ち取り、大逆転劇に終止符を打った。

 劣勢になってもナインは笑顔を忘れなかった。2日前の16日夜、みんなでテレビ人気番組の高校野球特集の逆転劇や伝説の名勝負を見た。「(79年の)箕島-星稜戦などを見て『とにかく笑おう。奇跡が起きるぞ』と言っていた。その通りになった」と原田一範監督(38)は明かした。13年、地元出身者だけの「りんごっ子軍団」で初優勝。2度目の甲子園へミラクル軍団が突き進む。【北村宏平】