中越は加茂暁星を6-3で下し、2年連続10度目の甲子園へ、あと1勝に迫った。1-1で迎えた6回に2死満塁からトリプルスチールを決めるなど3点を奪い勝負を決めた。決勝は今日24日、ハードオフエコスタジアム新潟で午後1時プレーボールだ!

 偶然をチャンスに変えた。中越は、ピンチの場面を好機に転じた。1-1で迎えた6回だ。1点勝ち越し、なお2死満塁。打者・斉藤隆也(3年)への3球目。一塁走者の岡田拓磨(3年)が、大きく離塁した。慌てて戻ったが、人工芝に足を取られ転倒。加茂暁星の捕手伊藤翔(2年)が一塁へ送球する間に、三塁走者の串田大地(3年)が本塁に滑り込んだ。一、二塁間に岡田がしぶとく挟まれているスキを突いて、二塁から三塁に達していた坂上顕士(3年)も、本塁を狙う。三本間に挟まれながら、タッチをかわして本塁に駆け込んだ。

 記録上はトリプルスチール。奇策に見えた一連のプレーは、ノーサインだった。岡田が転倒した瞬間、次の塁を狙う意識を二、三塁走者が共有した。「瞬時の判断。相手捕手は一塁に投げることだけ意識しているように見えた」とは、三塁から勝ち越しのホームに滑り込んだ串田。二塁から本塁に走り込んだ坂上は「挟まれたときはヤバイ、と思ったけれどラッキーだった」と言った。相手守備のほころびを、持ち前の足で誘った。

 「何かが起きたら次の塁を狙う、というプレーがうまく出た形」と本田仁哉監督(39)は言った。走者をつけての打撃練習など、次の塁を狙う意識付けを、普段から繰り返してきた。昨秋と今春は連続で16強止まりだったチームが足を使って、連覇まであと1勝。「目の前の試合だけに集中しよう」(本田監督)と階段を1段ずつ上ってきた中越の目の前の試合は、決勝だけになった。【涌井幹雄】