3年ぶり5度目の夏の甲子園出場を決めた常葉学園菊川の森下知幸監督(55)が29日朝、電撃退任発表から一転、続投表明した前日28日のドタバタ劇を選手に謝罪した。午前7時40分、森下監督は選手たちに深々と頭を下げた。「申し訳ありませんでした。気持ちが集中できないことを監督自らがしてしまった。甲子園へ最善を尽くすのでよろしく。リセットして出直すつもりで頑張ります」。選手たちから笑みがこぼれた。顔を上げて安心した森下監督が「ノックから行きましょう」と言うと、「よっしゃ!」の声が上がった。

 続投会見の様子は、選手寮のテレビで全員そろって見たという。栗原健外野手(3年)は「(森下監督の)顔がひきつってましたね。昨日の涙を返してほしいです」とジョークを飛ばした。全国で大反響の騒動になったが、赤井啓輔主将(3年)は「ネットでいろいろ言われていますが、裏切られた気持ちはまったくありません」。森下監督の指揮は甲子園大会までの方向だが、揺るがぬ信頼関係を強調した。

 午後は菊川市役所で太田順一市長、県庁で吉林章仁副知事を表敬訪問。森下監督は「伝統のフルスイングに磨きをかけ、県の代表として堂々と戦ってまいります」と意気込みを語った。チームは8月1日に大阪に入り、大会(同月7日開幕)に備える。【鈴木正章】