イケメンエースが見据えるのは、頂点だけだ。第98回全国高校野球選手権でベスト16入りした南北海道代表の北海は、今日17日の第4試合(午後3時半)で、22年ぶりの準々決勝進出を懸けて日南学園(宮崎)と対戦する。16日、初戦で1失点完投したエース大西健斗主将(3年)が、兵庫・伊丹スポーツセンターでブルペン入り。2戦連続2桁安打で勝ち上がってきた相手打線との対決に備え、調整を完了した。

 約2時間の練習中、北海のエース大西は終始、笑みを浮かべていた。12日の初戦後、初めてバットを握り、フリー打撃に参加。ブルペンでは20球を投げ、真っすぐ、スライダー、カットボールを確認した。

 痛みが残る左臀部(でんぶ)と左手甲、そして張りのあった右肩に、2日連続ではり治療を施し、急ピッチで回復に努めた。ただ、左手はまだ衝撃が響くようで、打撃練習では「左手の親指を浮かせるのでフルスイングは難しい。ミートを心がけたい」。打順は4番から下位へ配置転換も、持ち前の打撃センスで対応するつもりだ。

 今日17日の3回戦で対戦する日南学園は、1~4番まで左打者がズラリ並ぶ。この日のブルペンでは、抜け球や引っかけるような投球が目立ったが「いつもブルペンでは調子が悪いので、気にしない。左打者に苦手意識もないですし」と涼しい顔。「高めはもって行かれるので、高めには投げない。内の真っすぐが有効」と本番をイメージした。

 練習後には“勝利の儀式”でモチベーションを上げた。南北海道大会中に欠かさなかった、父亮人さん(46)とのグータッチだ。初戦の前日も、札幌から応援に来た父と“儀式”を行い、1失点完投。この日も、練習場に足を運んだ父の姿を見かけると真っ先に駆け寄り、まだ負けがない“儀式”を終えた。

 初戦の後、一部インターネット上では「V6岡田准一似のイケメン」と注目を浴びている。「小4くらいから似てると言われ続けていて、もう慣れました。自分では、よく分からないけど」と苦笑い。甲子園出場が決まってからは、地下鉄内でも女性から声をかけられることが増えた。「おばあちゃんとか、ご年配の方が多いんですけど、うれしいですね」。主将としても古豪を引っ張るイケメンエースが、チームを22年ぶりの8強へと押し上げる。【中島宙恵】