第99回全国高校野球選手権(8月7日開幕、甲子園)の東北各県大会が7日、岩手&福島大会から始まります。今年も注目校を「白球にかける夏’17」と題して紹介します。第1回は岩手編。今年4月に創部した盛岡誠桜が、初めての公式戦を迎える。助っ人6人を加えた12人で、第1歩を踏み出す。初戦(2回戦)は10日、甲子園出場経験のある花北青雲と対戦する。

 いよいよ盛岡誠桜の歴史の扉が開く。2日、岩手大会前の最後の練習試合は、水沢農・前沢・雫石3校の連合チームに16-2と大勝。5度目の練習試合で初めて勝利を味わった。主将の山県優雅内野手(1年)は「緊張とワクワク感がある」と、開幕を心待ちにする。学校に専用グラウンドはなく、平日は滝沢市内に車で移動して練習。環境には恵まれてはいない。それでも初めて公式戦をできることが、何よりもうれしい。

 盛岡女が13年度に共学となり、盛岡誠桜に校名変更した。共学5年目で男子生徒が増え、校内の部活動の活性化を図るため、硬式野球部が4月に発足した。野球経験者の1年生7人が集まり、同月14日付で県高野連に加盟した。だが5月中旬に1人が退部。赤坂晴之介監督(24)は「創部1年目が大きい。来年には部員も増えると思う。そういう思いで連合チームは考えなかった」と言い、校内で助っ人選手を探した。山県主将も同級生に声をかけた。

 6月に入って間もなく、バスケットボール部、弓道部などから3年生、1年生3人ずつの計6人が加わった。12人となりチームが成り立った。練習は助っ人の所属クラブの活動で、全員がそろうことは難しい。6人の中には野球の初心者もいる。それでもエース右腕で4番の佐々川元(げんき、1年)は「他の高校ではできない、自分たちが一からつくれる野球ができる」と必死に汗を流してきた。

 初心者の弓道部・相浦航介外野手(3年)は「みんなが活躍できる。団体競技の魅力がある」と、野球を楽しんでいる。5月下旬に行った練習試合は対戦相手から選手を借りたが、6月25日には10人がそろって、初めて盛岡誠桜の選手だけで戦った。その試合で相浦はいきなり二塁打を放った。助っ人には意外性がある。

 ランナーコーチなどが必要なことから、赤坂監督は「12人集まったのは大きい」と話す。山県主将は「野球部をつくることで、得られるものは多いんじゃないかと思う」と、初の公式戦を未来へとつなげる。真夏に「誠の桜」は咲くのか? 7日後に迫った10日の初戦。だれもが注目している。【久野朗】

 ◆盛岡誠桜 1948年(昭23)に久保学園として創立の私立校。90年に盛岡女に校名変更し、13年4月の男女共学化に伴い盛岡誠桜となる。生徒数は744人(女子559人)。女子の駅伝とバレーボールなどが全国レベル。AKB48渡辺麻友が47都道府県の女子制服を着たミュージックビデオで、同校の制服を着用して渡辺本人から好評を得た。所在地は岩手県盛岡市高松1の21の14。付田政登校長。