全国のトップを切って沖縄大会決勝が行われ、興南が美来(みらい)工科を15-1で下して2年ぶり11度目の甲子園出場を決めた。今夏初先発のスーパー1年生左腕、宮城大弥(ひろや)投手が13奪三振で1失点完投。10年に甲子園で春夏連覇したエース島袋洋奨投手(24=ソフトバンク)をほうふつさせる“プチトルネード投法”でニュースター誕生を予感させた。

 宮城は最後の打者をこん身の141キロで三振に打ち取った。3者三振締めでの優勝を「最高でした」と興奮気味に振り返った。だが入学してからまだ3カ月。派手なガッツポーズもなく、マウンドで立っている間に歓喜の波にのみ込まれた。

 「初めてなので優勝の実感がなく、戸惑いました」。実はこの日が高校初先発。それでも「まだ3カ月ですがたくさん練習してきたので自信はありました」と思い切って臨み、全国切符を手にした。甲子園での抱負を問われると「自分らしい強気の投球でねじ伏せたい」と力強く話した。

 10年に興南で甲子園春夏連覇を果たし、同じ嘉数中出身の左腕島袋に憧れて入学した。中学から「好きな投げ方で自然に身に付きました」と、島袋をほうふつさせる“プチトルネード投法”を武器にしてきた。同校教頭で野球部の安里利光副部長(51)から「島袋の1年の頃のよう。島袋に似てマウンド度胸もあるしコントロールがいい」と期待された通りの快投だった。

 我喜屋優監督(67)は決勝の先発を「ひと晩中悩みました」と明かした。だが、16日の朝、宮城の顔を見た瞬間ひらめいたという。宮城に「どうするか?」と聞くと、きょとんとした後「行きます」と力強く即答。指揮官が「1年だがマウンドではふてぶてしい。場慣れしている」とホレ込む強心臓に、大一番が託された。