第3シードの土浦湖北が、茨城との接戦に敗れた。春の県大会では準々決勝まで2失点と堅守が光った土浦湖北の守備の要、鈴木崚斗(りょうと)遊撃手(3年)は、硬い表情を変えないまま、無言で唇をかんだ。2番遊撃で先発し、初回には右前打で出塁。5回にはバントで走者を進め、得点につながる貢献をした。

 6月11日の聖光学院との練習試合で左ひざに死球を受け、全治4カ月の剥離骨折と診断されていた。開幕まで1カ月を切っていた。「あ、俺の夏はもう終わったのかな」。抑えてきた感情があふれ出だしそうになるのを、必死にこらえた。

 夏前に骨折をするのは、3年連続だった。1年ではバットの振りすぎで左肩を疲労骨折、2年では守備練習中にイレギュラーバウンドの打球を処理しきれず右頬骨を折った。

 今回の左ひざの骨折では、気持ちの部分が変わっていた。母直美さん(46)には「大丈夫。絶対間に合わせる!」と何度も強く言った。「今までの骨折では落ち込んでいたのに、今回はすごく前向きなんです」と息子の頼もしさと成長は、母親を驚かせた。鈴木崚も開幕1週間前には「根拠はないけれど、治す自信があった。今は純粋に野球がやりたいんです!」と意気込んでいた。

 野球ができる喜びをかみしめ、自分のベストのプレーをした。「悔しい」。けがと戦いながら、自分自身とも戦った夏が終わった。