春の近畿大会4強の大体大浪商(大阪)が、プロ注目のエース、宮本大勢投手(3年)が5回参考ながら、ノーヒットノーランを達成し、5回戦進出を決めた。3番西川尚汰外野手(3年)の2本塁打など打線も好調で10点を奪い、槻の木をコールドで撃破。

 プロ注目左腕の宮本が、今夏初先発でノーヒットノーランを達成した。3回の先頭打者に四球を与えたが、打者15人に5回54球を投げ、1度もHランプをともさなかった。練習試合では経験があるが公式戦では初めて。四田勝康監督(60)は「やっぱり宮本が投げたら、周りが落ちつく。これがエース」とたたえた。宮本は「毎回(打者)3人で切ったら、仲間が打ってくれると思って辛抱強く投げた。勝ててよかった」と笑顔で振り返った。

 自信があった。四田監督の「メンバー入りした投手全員に投げさせたい」という考えから、登板は2回戦の大教大天王寺戦のみ。それも5回コールドの最終回にマウンドで3者連続三振に斬った1イニングだけだった。だが、この日の快投で合計6回を無安打無得点。「夏の大会に慣れて、自信もつけられた」と話すエースを見て、四田監督も「宮本のことは何も心配していない」と信頼を深めた。

 勝負下着の効果も抜群だった。好きな色が赤ということもあり、真っ赤なパンツを履いて先発した春の大阪大会5回戦の東大阪大柏原戦で6-1で勝利。それ以降、験を担いで先発試合には、1着しか持っていない赤い勝負下着を愛用している。宮本は「勝負パンツの試合は、練習試合を含めても無敗」と胸を張った。

 夏の甲子園は、浪商時代を含めて13回出場したが、「ドカベン」こと香川伸行氏を擁して4強入りした79年以来、遠ざかっている。“赤備え”で闘志満々のエースが、古豪復活を導く覚悟だ。【中島万季】

 ◆宮本大勢(みやもと・たいせい)1999年(平11)12月4日、堺市生まれ。浜寺小1年からソフトボールを始め、4年で野球に転向して「ポルテ」に加入。浜寺南中では軟式野球部に所属。大体大浪商では1年秋からベンチ入り。最速139キロ。183センチ、85キロ。左投げ左打ち。