東京都出身だが、幼いころに甲子園に出場した天理のユニホームを見て憧れ、父の元を離れた。「厳しい環境でやりたい」。冬場は160キロの負荷をかけたスクワットで鍛錬。「今がしんどいところだから頑張れ」と父からの手紙にも励まされ、187センチ、87キロの強力ボディーが仕上がった。春の県大会で公式戦初登板。父は下手投げが武器だったが、息子は上手投げから繰り出す140キロ前後の「重い球」を武器に、夏の最終メンバーを勝ち取った。

 中村良二監督(48)は輪島の登板について「(夏の公式戦で)投げさせずに、準決勝を迎えるよりは、このあたりで投げさせようと思った」と説明。次戦の智弁学園戦をにらんだ投入だったと明かした。準決勝は昨夏の県大会決勝で、5-6で敗れた相手だ。「(父が応援に)来てくれるかもしれません」。父に成長した姿を見せ、リベンジでの決勝進出を果たす覚悟だ。【星名希実】

 ◆輪島大地(わじま・だいち)1999年(平成11)7月2日、東京都生まれ。小学1年から池雪ジュニアストロングで野球を始める。中学時代は城南鵬翔クラブに所属。天理では3年春からベンチ入り。身長187センチ、体重87キロ。右投げ右打ち。

 ◆輪島大士(わじま・ひろし)本名・輪島博。1948年(昭23)1月11日、石川県生まれ。日大3、4年時は連続学生横綱。70年初場所で初土俵。73年横綱昇進。「黄金の左」を武器に優勝14回。ライバル北の湖と輪湖(りんこ)時代を築いた。81年引退し、その後タレントなどでも活躍した。