センバツ決勝の再現だ。明日29日に行われる大阪大会・準決勝で大阪桐蔭と履正社が対戦することが決まった。履正社は今秋ドラフト候補の安田尚憲内野手(3年)が今大会3発目となる高校通算62号を放つなど、大体大浪商に5回コールド勝ち。大阪桐蔭は初回に4失点するなど苦しい展開も、山田健太内野手(2年)の満塁弾を含む21安打15点で逆転勝ちした。熱戦がこの夏、再現される。

 安田がいつになく、感情をあらわにした。1回。1点を先制し、なおも無死一塁だった。高めに入ったチェンジアップを振り抜くと、打球はバックスクリーン右へ飛び込んだ。ダイヤモンドを回りながら左手で、そして右手でもガッツポーズ。笑みもはじけた。「緩いボールでちょっと詰まったけど、飛んでくれて良かったです」と高校通算62号で、勝利への流れをグッとたぐり寄せた。

 試合前、岡田龍生監督(56)は「積極的に振っていけ」とナインに指示していた。前日26日、ヤクルトが10点差をはねのけて大逆転。教え子のヤクルト山田に試合後、岡田監督がメールをすると「奇跡です」と返ってきたという。「1球目から振っていっているからビッグイニングが出来る。高校野球も一緒」(岡田監督)。安田は全3打席で追い込まれる前にファーストスイングしている。12安打10得点の猛攻の軸となり、「気持ちを全面に出してやろうと思っていた」と笑顔だった。

 第2打席は左翼フェンス直撃の適時二塁打。第3打席は三振に倒れたが、右翼ポール付近に特大ファウルがあった。今大会15打数11安打で打率は7割3分3厘。3本塁打13打点の暴れっぷり。さらに10四球あり、出塁率は8割8分。4回戦の第2打席からこの日の第2打席まで10打席連続出塁も記録した。「ヤッサン、ヤッサン、ヤッサン、ヤッサン、ヤッサン…」と今大会から安田の打席で使われるノリのいい応援とともに、打撃もノリノリだ。

 29日の準決勝の相手は、大阪桐蔭に決まった。今春のセンバツ決勝で敗れ、初の全国制覇を阻まれた。安田は「ここ2、3試合、ベンチも盛り上がっている。今のチーム状況なら勝てると思う」。絶好調男のバットが、宿敵を倒すためには不可欠だ。【磯綾乃】