甲子園最強スラッガー捕手の誕生だ。今大会NO・1捕手として注目される広陵(広島)のドラフト1位候補、中村奨成(しょうせい=3年)が、捕手として最多となる1大会4本塁打を記録した。聖光学院(福島)との3回戦で、9回に決勝2ラン。大会タイ記録の3戦連発で、個人1大会最多本塁打記録にも王手をかけた。今日20日の準々決勝は仙台育英(宮城)戦。サヨナラ勝利を飾って勢いに乗る強豪に襲いかかる。

 打った瞬間に確信した。右手を高く上げながら、中村がゆっくりと走り始めた。歓声と拍手が聞こえる中、一塁を回ったところでガッツポーズ。三塁を回り、再びコブシを握った。

 「勝ちたい気持ちが前面に出た。最高に気持ちよかった。今日は満点くらい」

 同点の9回無死一塁。3球目の高め直球を仕留めた。打球は左翼スタンドへ。甲子園初戦から3戦連発。広島大会準決勝から数えると5戦連発だ。1大会4発目は、ドカベンの愛称で親しまれた浪商・香川らを抜き、捕手最多アーチとなった。

 約束通りの活躍だった。5回の守備。1死からエース平元がこの日2本目のソロ本塁打を浴びた。さらに2点追加され、1死一塁とされた場面で、中村は平元のいるマウンドに行った。「スコア(ボードを)見てみ。まだ(残りのイニングが)こんだけある。俺が取ったるから堂々と投げろ」。1年から寮で同室の平元は直後の2死で降板したが、中村は6回に体勢を崩しながら同点打。そして9回にV2ランと宣言通りの暴れっぷりだった。