甲子園帰り初戦の仙台育英が、5点差をひっくり返して宿敵東北を7-6で下した。1-6から4点をかえして迎えた8回無死三塁、春夏連続で甲子園を経験している1番鈴木佳祐内野手(2年)が同点につながる一打を放ち、その後は二ゴロ併殺で勝ち越した。ともに県大会出場を決めていたが、両軍合計23安打の乱打戦を制した。高校日本代表に選ばれた先輩・西巻賢二内野手(3年)の背中を追う「西巻2世」鈴木佳を中心に、「逆転の仙台育英」は新チームでも健在だ。

 夏の興奮がよみがえった。5点を追う仙台育英ナインにあきらめはなかった。1-6の8回、2四球と失策で満塁とすると、2本の適時打で1点差。1番鈴木佳の脳裏には、今夏甲子園の大阪桐蔭との3回戦で9回に逆転サヨナラ勝ちした記憶が再生されていた。

 鈴木佳 序盤に点差がついていたけど、無死満塁になって夏の甲子園がよぎった。打った瞬間、レフトフライかと思ったけど…。

 旧チームからただ1人のレギュラーとしての意地が、打球に乗り移った。3球目の外角直球を逆方向に流し込むと、左翼手のグラブをはじく同点打(記録は失策)。打撃の左右の違いこそあれど、「西巻2世」が大逆転勝ちを引き出した。

 偉大な先輩と同じく投打の二刀流を貫く。「今のチームは拓帆さん(長谷川、3年)みたいな絶対的なエースがいない」と、甲子園から帰ってきた後は投球練習を始めていた。この日は8回から公式戦初マウンドに上がり1死奪うも、四球と安打でピンチを招いて三塁へ戻ったが、佐々木順一朗監督(57)は「1番手(先発投手)としての登板もある」と高い潜在能力を評価した。

 先輩超えが目標だ。小6では西巻と同様に楽天ジュニアに選ばれ、秀光中では全日本中学軟式野球大会を制した。仙台育英でも鉄壁の三遊間を1年間組んだ西巻は、鈴木佳にとって今でも憧れの存在だ。「中学から一緒の賢二さんは目標。将来は自分もジャパンに選ばれたい」。新チームの柱は「西巻2世」が担う。