高校の部は、明徳義塾(四国・高知)が、創成館(九州・長崎)を4-0で下し、36年ぶり2度目の優勝を飾った。2回戦の中央学院戦の11日朝に馬淵史郎監督(61)の母・中本アキさん(享年95)が死去。悲しみをこらえ、就任後初の明治神宮大会優勝を届けた。神宮枠は四国が獲得した。

 優勝の瞬間も、馬淵監督は表情を変えなかった。普段と変わらぬ様子で、マウンドに駆け寄るナインを見守った。「今日は先制点が大事だと思った。市川もよく投げてくれた」。幸先よく初回に先制。前日13日の準決勝・静岡戦で3失点完投したエース市川悠太投手(2年)が、この日も4安打完封した。この秋は県大会からの10試合をすべて完投。痛めた内転筋にはテーピングをし、静岡戦の2回に右手中指の爪が割れるアクシデントも「今日で終わりなので気合で投げました」と恩師の期待に応えた。

 準決勝の後、馬淵監督がナインに「明日は勝ってくれよ」と目を潤ませ話した。初戦が行われた11日の朝、監督の母・中本アキさんが95歳で亡くなっていた。「宿命というか、しょうがないですね」。大会中で高知に戻ることができず、決勝のこの日は告別式も行われた。悲しみを隠して優勝へ導いた指揮官は「親不孝もんですね。ウイニングボールは墓前に供えたいですね」と寂しげに笑った。

 学校としては2度目、馬淵監督は自身初の明治神宮大会制覇となった。「夏(の甲子園)と国体で優勝して、神宮で優勝できて。ないのはセンバツの旗だけ。簡単にはいかないと思いますけど、目標は出来ました」。悲しみを乗り越え、春の頂点に挑む。【磯綾乃】