「頂」をいただきます! 第90回記念選抜高校野球大会(3月23日開幕、甲子園)に5年ぶり5度目出場の聖光学院(福島)は26日、福島・伊達市内の同校礼拝堂で、入場行進で掲げる選抜旗授与式と壮行会を行い、矢吹栄希主将(2年)が東北勢初の日本一獲得を誓った。福島県勢は東北唯一ベスト4以上がなく、勝率も最低。昨秋の東北王者が、県勢の汚名返上だけでなく、東北に歓喜を届ける。

 矢吹主将が、えんじ色のスクールカラーで作成された選抜旗を手に、堂々と胸を張った。「自分たちは東北を代表させていただいて出場する。出られないチームの思いも背負って戦いたい。センバツで日本一になるための準備をしっかり進めています」。試験期間中にもかかわらず駆けつけた約500人の生徒の前で、頂点への思いを誓った。11年連続出場中の昨夏は広陵(広島)に惜敗して3回戦敗退。昨秋の明治神宮大会でも初戦で創成館(長崎)に負けた悔しさも発奮材料にする。

 福島県の負の歴史も塗り替えるつもりだ。59年に会津が県勢初出場して以降、過去9勝18敗の勝率3割3分3厘。東北勢1位の宮城県から大きく離された最下位だ。71、00年の福島商8強進出に13年に聖光学院が並んだものの、唯一ベスト4進出も果たせていない。矢吹も「そういう記録も知っている。『みんなで覆してやろうぜ』『福島の歴史を変えるために、やってやろうぜ』と話しているモチベーションです」と闘志を燃やす。

 野球部だけでなく、学校関係者や生徒たちも気持ちは1つだ。来月9日のイベントでは全校生徒参加で「頂」の人文字を作って航空写真を撮影し、エールを送る予定。エースの衛藤慎也(2年)も「去年の東北大会の決勝も全校応援で力を与えてもらい優勝できた。センバツにも来てくれるみんなの思いも背負っています」と感謝した。

 今月10日から5日間行った合宿では、紅白戦などの実戦で、ひと冬越した成長を実感できた。今後は来月上旬に沖縄に渡って強豪と対戦し、大阪に乗り込む。矢吹は「頂点をつかむには、練習試合での課題を埋めていけるかが大事」。県勢初の偉業だけでなく、一気に日本一まで上りつめるつもりだ。【鎌田直秀】