第90回選抜高校野球大会が今日23日、甲子園球場で開幕する。2年連続17度目出場の静岡は、22日午前に開会式リハーサルに臨み、午後からは、明日の第2日(24日)第2試合(午前11時30分開始予定)の駒大苫小牧(北海道)戦に向けた練習を行った。今春から9番の山本貫太内野手(3年)が、柵越えを連発。力みの抜けたスイングで、本番での「一発貫太くん」を期待させた。

 静岡が、3日ぶりに屋外練習を行った。前日までの雨がやんで、大阪・尼崎ベイコム野球場で約2時間、汗を流した。最初の15分をシートノック、残り時間をフリー打撃に費やした。それぞれが気持ち良く快音を響かせる中、山本の好調ぶりが際立った。両翼91メートル、中堅119メートルの球場で、10本以上の柵越えを放った。

 「余計な力が抜けて、いいバランスで打てました。いつもより、いい感じでビックリしています」

 「けがの功名」だった。19日、太成学院大高(大阪)戦での打席で、右人さし指付け根に、ボールを当てた。直後の守備から試合を退き、この2日間は守備練習のみ。アイシングなどで回復に努めてきた。痛みは「少し残っています」と話すが、力みが抜けたことを前向きにとらえ、「大丈夫です」と笑みを浮かべた。

 もともと長打力には定評がある。昨秋の公式戦打率は、レギュラー野手最低の1割2分5厘ながら、県大会決勝(常葉大菊川)で決勝3ランを放った。今春から、加茂翔太内野手(3年)と入れ替わりで9番になったが、対外試合では「恐怖の9番」として存在感を示してきた。

 名前の「貫太」は、昭和の野球アニメ「一発貫太くん」の主人公から付けられた。本人は「狙うことはないです」と言うが、バットは振れている。甲子園で「一発貫太くん」になる可能性は十分だ。【鈴木正章】

 ◆「一発貫太くん」 77年9月~78年9月、フジテレビ系で放送された野球アニメ。野球好きの戸馳(とばせ)一家が結成した草野球チーム「ホーマーズ」の活躍を描く物語で、三男で小5の貫太が主人公。やんちゃでおっちょこちょいだが、情に厚く正義感が強い。ポジションは三塁手。