智弁和歌山は毎回の14安打を浴びせて国学院栃木を下し、8強入りした。

 大会注目のスラッガー、智弁和歌山・林が目をさました。1回無死一、二塁の絶好機に放った打球は左翼フェンスを直撃。「打球の角度を見て、入ったかと思いました」という会心の先制三塁打が7年ぶりの春8強を呼んだ。

 中堅への豪快弾で甲子園を沸かせた昨夏後、疲労骨折した右ひじを手術。「まむしがいい」「ウナギの骨が効く」というご近所の助言を参考に、父光彦(てるひこ)さん(52)がまむしの粉末を手に入れ、オブラートに包んで飲ませた。「まむし飲んでたとは本人は知らんでしょうけど」と父は苦笑も、林は周囲に支えられ甲子園に戻ってきた。

 高嶋仁監督(71)は「あれを待っとったんです」と目を細めた。試合前、三塁側ベンチで明徳義塾・馬淵監督と顔を合わせ、傷心の盟友から「智弁とやりたかった」と声をかけられた。1勝を上乗せした甲子園66勝監督は「馬淵監督がおらん間に勝たないかん」。カムバックした主砲と進撃を続ける。