東京の「ドクターK」の夏が幕を開ける。第100回全国高校野球選手権東西東京大会(7月1日開会式)の組み合わせ抽選会が16日、都内で行われた。春のブロック予選の淵江戦で22三振を奪った吉岡桃汰投手(3年)擁する東大和南(西東京)は、7月10日に保谷-明学東村山の勝者との対戦が決まった。桐光学園・松井裕樹(現楽天)の「奪三振ショー」に魅了された左腕が、自らの最後の夏に再現する。

 東大和南・吉岡は、チームの勝利のために「奪三振ショー」を求めた。初戦は7月10日、保谷-明学東村山の勝者と対戦が決定。「三振はチームを盛り上げるための武器。流れを変えることが必要な時に狙っていく」と三振の力で勝機をたぐり寄せる。

 自らの名を上げたのは、驚異の「奪三振ショー」だった。春の都大会ブロック予選の淵江戦、7者連続を含む22三振でチームを勝利に導いた。偶然にも、松井が2年夏の甲子園の今治西戦で奪った数と同じ22三振で、プロのスカウト陣に「謎のドクターK」の存在を知らしめた。次戦の文教大付戦も18奪三振。春は計4戦で63三振を奪った。

 最大の武器は、楽天松井を参考にしたスライダー。「中指でボールを切るように」投げる伝家の宝刀で、奪三振数の「7~8割くらい」を奪い取る。16年秋の東京大会で、早実・清宮(現日本ハム)から5打席連続三振を奪った日大三・桜井(現DeNA)の映像も目に焼き付け、奪三振のイメージを高めた。

 「奇跡の男」とも称される。高1の1月、自転車で登校中にトラックにひかれたが、自身は無傷。「自転車はボコボコでしたが、僕は大丈夫でした」とケロッとした。春季大会後、腰痛を発症したが、順調に回復。「『桃太郎』のように強い男」にと願いが込められ、「桃汰(とうた)」と命名された。最後の夏、西東京のライバル校を“退治”する。【久保賢吾】

 ◆吉岡桃汰(よしおか・とうた)2000年(平12)11月25日、東京・羽村市生まれ。小4で野球を始め、羽村第三中では軟式野球部に所属。東大和南に入学時は一塁手だったが、1年秋から投手に転向し、初のベンチ入り。3年春から背番号「1」。最速140キロで球種は直球、カーブ、スライダー、チェンジアップ、スプリット。180センチ、79キロ。左投げ右打ち。