ドラフト候補で最速152キロの日大鶴ケ丘(西東京)勝又温史投手(3年)が投打「二刀流」で活躍し、6回コールド勝ちに貢献した。6球団のスカウトが視察する中、清瀬戦に「5番右翼」でスタメン出場し、2ランを含む3安打4打点。6回から登板し、最速147キロで1回を無失点に抑えた。大阪桐蔭・根尾ら二刀流が居並ぶ第100回大会。勝又が「関東NO・1」に名乗りを上げた。

 4点リードの5回無死一塁、日大鶴ケ丘・勝又は「流れを変えようと(1発を)狙って」、打席に入った。心は熱かったが、頭は冷静。「変化球なら逆方向、直球なら思い切って」と整理し、2球目の直球を弾丸ライナーで右翼席に運んだ。3回は左翼線への適時二塁打、6回も内野安打を放ち、3安打4打点で打撃センスの高さを証明した。

 6回からはマウンドに上がった。「力んだ」と先頭に死球も、1死から併殺打で無失点。直球の制球は少し乱れたが、最速は147キロをマークした。中日中田アマスカウトディレクターは「センスは打撃、素材は投手。打撃はスイングがいいですし、洗練された印象。投球ではよく腕が振れる」と投打とも評価した。

 体のバネ、筋力、柔軟性が、剛速球と本塁打を生み出す。中3の体育祭では、走り高跳びでベリーロールで170センチの校内新記録を樹立。肩甲骨はエンゼルス大谷ばりに柔らかく、練習試合では同校の高さ約30メートルの防球ネットを越える規格外なパワーを秘める。希望進路はプロで、大谷が切り開いた「二刀流」も「やってみたいです」と壮大な夢も自身を成長させた。

 将来の夢もロマンがある。幼少期から父が好きな沖縄・宮古島に頻繁に家族旅行。今では海や風景の写真を撮るのが趣味で「年を取ったら、宮古島でペンションをするのが夢なんです」と笑った。大阪桐蔭・根尾らがけん引する「ミレニアム世代」に、夢あふれる「二刀流」が現れた。【久保賢吾】

 ◆勝又温史 かつまた・あつし。2000年(平12)5月22日、東京・狛江市生まれ。小3で野球を始め、中学では狛江ボーイズに所属。2年まで捕手と外野手で3年から投手に転向した。日大鶴ケ丘では1年夏からベンチ入りし、2年秋に背番号1。最速152キロで球種はカットボール、スプリット、カーブ。180センチ、76キロ。右投げ左打ち。