「最強の2番打者」が夏を熱くする。南神奈川大会2回戦で、3連覇を狙う横浜が逗子に9-0で7回コールド勝ちした。U15代表で佐倉シニアで日本一に輝いた横浜・度会隆輝(わたらい・りゅうき)内野手(1年)が「2番左翼」で公式戦デビュー。2安打1得点と躍動した。この日は今夏最多382試合の熱戦が繰り広げられた。

 横浜の夏初陣。2番に名を連ねたのは1年生の度会だった。初回無死一塁。2球目で1番山崎が盗塁し、得点圏に走者を進めた。打撃を買われた「攻撃的2番」に犠打のサインは出なかった。5球目を引っ張ると二塁失策を誘い、先制の走者が生還。2打席目は二塁内野安打で出塁し、自ら2点目のホームを踏んだ。

 逗子の極端なシフトをかいくぐり2安打1得点。

 度会 先発はうれしかった。スローボールやこういうシフトは初めてでしたが、高校野球ではこういうことにも対応していかなければいけないんだな、と。緊張しましたが、先輩たちが優しく声をかけてくれた。

 佐倉シニアでは主に3番を打ち全国制覇。U15にも選出され、優勝したアジアチャレンジマッチではMVPも獲得した。神宮球場の右翼席中段まで飛ばすパワーを備え、50メートル走6秒1と足もある。スタンドで応援した父で元ヤクルトの博文さん(46=球団職員)と昨年出演したテレビ番組では、ボードをトス打撃で打ち抜く企画に挑戦。平田徹監督(35)も「天才的」とうなるバットコントロールで、完全制覇を達成した。

 本職は二塁で、この日は不慣れな左翼だった。それでも、父の現役時代に負けない笑顔と、はつらつプレーでチームを盛り上げた。試合前に父から届く励ましのメールがお守り代わり。「この程度の結果で満足してはいけない。全打席ヒットを打つつもりで、1つ1つ認めてもらえるよう頑張りたいです」。鳴り物入りで入学した「爽やかルーキー」がチームを勢いづける。【和田美保】

 ◆度会隆輝(わたらい・りゅうき)2002年(平14)10月4日、千葉県生まれ。3歳で野球を始め、東京北砂リトルに所属。下貝塚中では、佐倉シニアで春の全国大会とジャイアンツカップV。U15にも選出。家族は両親と兄。180センチ、76キロ。右投げ左打ち。