春県王者の第1シード東北が苦闘発進した。8回2死まで大崎中央に0-2という窮地から、沈黙していた中軸が息を吹き返した。

 2死二塁から、四球を挟んで逆襲の3連打。「終盤に強い。春の大会で経験したので自信はありました」と4番奥田惇人外野手(3年)が左翼フェンス直撃、5番中村紘大内野手(3年)は中前へ、連続適時打を運んだ。振り出しに戻すと、主将で代打の岩沼和希内野手(3年)も四球でつなぎ、2死一、二塁から勝ち越しの決勝打は、阿部真大(なおた)捕手(3年)が中前へ放った。

 我妻敏監督(36)は「組み合わせを見て、楽に勝てる試合はないと選手には言いましたが、それにしても今日は苦しかった。今も勝った気がしません」と冷や汗をぬぐった。初回、2死満塁の先制機を逸して暗転。5回には盗塁死、けん制死と機動力も空回りした。

 それでも、75年以来となる夏初戦敗退の屈辱は免れた。岩沼主将は「負ける気はしなかった。だから焦りもなかった」とベンチで声を絶やさず、仲間を勇気づけた。6月の東北大会で左親指を骨折したが、代打で元気にスイング。苦戦の反省とともに、次戦から先発復帰のメドが立ったことは収穫だ。【中島正好】