北福岡は準々決勝2試合が行われ、62年ぶりの夏甲子園を目指す古豪の小倉が鞍手竜徳を7-0の8回コールドで下し4強入りした。最速147キロのエース右腕、河浦圭佑投手(3年)が、がん闘病を続けながら母校を指導する元ヤクルトの安田猛スーパーバイザー(71)への恩返しの心を胸に投打でけん引。8回2安打無失点の10奪三振、打っては2安打と気を吐いた。

 河浦は「レジェンド小倉」への感謝の思いを白球に込めた。先頭打者を二塁打で出して迎えた6回1死三塁。「気合を入れ直してギアを上げた」。相手4番からキレのある外角直球で見逃し三振を奪うと、珍しく感情を表し雄たけびを上げる気合の入りようだった。

 準々決勝前日16日の練習中、がん闘病を続けながらスーパーバイザーとして母校の指導に心血を注ぐ元ヤクルト投手の安田猛氏(71)から足の上げ方や体重移動を修正された。河浦は「暑い中、病気を患い苦しいのに指導してもらい恩返ししかない」と燃えた。「お前たちは甲子園で全国制覇できる力は持っている」との激励を力に変えた。

 河浦はこの日、プロ通算93勝左腕の安田氏から「足を上げる時にためをつくれるよう、つま先を下に向けなさい。そして持ち味の直球を内角にしっかり投げ込め」と助言されて実践。体重移動から繰り出す140キロ台中盤の直球を主体に、強気の内角攻めで翻弄(ほんろう)。今春、習得した安田氏直伝のカットボールを決め球に、スローカーブやチェンジアップも有効だった。

 メリハリある調整も功を奏した。連戦の疲れを取るため、2回戦以降初めて試合翌日の完全休養日が設けられた。河浦は整骨院で整体マッサージを受け、41度の湯をためた浴槽で半身浴を行うなどコンディションを保っている。投げるだけでなく、2回1死で左翼線二塁打を放つなど4打数2安打と投打に輝いた。

 準決勝の相手は4試合連続2桁安打と強打の飯塚が相手だが「次もキレのある直球を投げ込み抑えたい」。OBら周囲の期待も糧に、福岡県最多の春夏通算21度の甲子園出場を誇る古豪復活を狙う。【菊川光一】

 ◆河浦圭佑(かわうら・けいすけ)2000年(平12)12月8日、北九州市小倉北区生まれ。小1でソフトボールを始め霧丘中では野球部所属。小倉では昨秋147キロを記録。遠投105メートル。憧れは楽天則本。右投げ右打ち。176センチ、80キロ。家族は両親と兄。