10年ぶりの夏聖地へ、菰野(三重)が好発進だ。広島の17年育成ドラフト1位岡林飛翔(つばさ)投手(18)の弟、5番岡林勇希外野手(2年)が右越えに2打席連続アーチを懸け、大量12得点の5回コールド劇を演出。「左投手から体を開かずに打てたのがよかったです」とほおを緩めた。

 岡林がベースを1周すると、先に生還した4番田中法彦投手(3年)が待ち構える。2人で目を合わせて、敬礼ポーズ。サッカー日本代表の本田と岡崎がロシア・ワールドカップ(W杯)で見せたゴールパフォーマンスをまねた。「2人でホームにかえったときはやろうと話していました」と田中。打ち合わせ済みの“お約束”を、早速実行してみせた。

 この日は打撃が光ったが、2年生ながらU18日本代表の第1次候補に名を連ねた好投手だ。エース田中の後を受け、4回から登板した。直球は自己最速タイの148キロを計測し、得点こそ許さなかったが、1イニングを1安打2四球。「本来の投球ができなかった」と唇をかんだ。

 同候補に選出された2年生は大船渡(岩手)の154キロ右腕・佐々木朗希など6投手。「同世代には球速もコントロールも、すべてにおいて負けたくない」と対抗心を燃やす。「投球でも打撃でも、チームの勝利に貢献できるように頑張ります」。世代のヒーローを目指す岡林が、投げて、打って、飛躍の夏にする。【吉見元太】