5回コールドの大差で敗れはしたが、序盤は畝傍の「データ」がはまった。初回、2回は天理の強力打線を3者凡退に抑えていた。

 県内屈指の進学校、畝傍野球部には5、6人で構成される「データ班」がいる。データ班の選手は大会期間中、他の選手が練習を行っている間は常に、対戦相手のデータ分析を行っている。徳永健志内野手(2年)は、「ベンチを外れると分かったので、チームのために役に立つことを」と1年の秋からデータ班になった。理系の桝谷優斗内野手(2年)も「実力が乏しいので、3年生をサポートしたかった」とデータ班を志願した。

 対戦相手の動画を見て分析するのが主な作業。ストライクゾーンを縦横25分割し、どこで捕手が構えたら、どこに投手が投げてくるのか。どこに来たボールを打ったらどこに飛ぶのか。1球1球細かくデータを取っていく。

 この日の対戦相手の天理は、昨夏の奈良大会を制し甲子園4強。昨秋の県大会は3位決定戦、春は準決勝まで勝ち進み、膨大なデータがあった。昨年から出場していた選手は、約30試合分の映像を見たという。練習時間は15時45分から18時までだが、遅い時は20時まで残って映像の分析を続けた。

 集計したデータは手書きで紙にまとめ、投手陣と捕手、そして希望する選手にコピーして配る。この日は守備位置を深めにしたり横にずれたりと、データを基に守ったが「序盤ははまったけどその後、前に落とされたりした。そこは改善していかないといけない」と徳永は反省を口にした。

 3回戦で敗れ新チームが始動するが、それでも徳永は「出来るだけ続けて、携わっていきたい」。畝傍野球部の頭脳として、鍛錬を続けていく。