中央学院(西千葉)の大谷は、試合後、目を真っ赤にして「1勝できなかった…悔しい」と声を震わせた。

 「4番右翼」で出場し、初回には1死三塁から勝ち越しとなる左犠飛を放ちチームに勢いをつけた。しかし、1点ビハインドの8回裏、2死一塁には「自分が打つ」と初球から積極的に振り空振り三振。「勝利に導きたかった」と悔やんだ。

 5月下旬、打球を右側頭部に当て「頭蓋骨骨折」などの診断を受け約1カ月の安静を経て復帰。グラウンドに立つ奇跡は起こしたが、練習不足から筋肉が減り本調子には程遠く、登板はなかった。「勝ち進み大谷を甲子園のマウンドに立たせる」という、仲間の思いが心に響いた。「本当にいいチームだった」と話すと、再び涙があふれた。相馬幸樹監督(38)は「(ケガから)ずっと苦しかった。投げさせてあげたかった」と胸の内を明かした。

 「(プロ志望届は)出したい。打者として行きたい」とプロ志望を表明。「チームに必要とされる選手になりたい」。涙の先に、希望の光が輝いた。【保坂淑子】