夏1勝ならず-。第100回全国高校野球選手権(甲子園)で、南北海道代表の北照が沖学園(南福岡)に2-4で惜敗した。0-3の5回1死二塁から1番中谷彪真(3年)の左翼線適時二塁打などで2点を返すも、エース原田桂吾(3年)が15安打を浴び5四死球4失点。打線も10安打放ったがチャンスで1本出ず、追い付くことができなかった。北北海道代表の旭川大高も甲子園初のタイブレークで敗れ、2年連続の南北同日敗退となった。

 頼みのエース原田が打ち込まれた。「暑さ対策はしてきたが、今日は緊張からか、酸素が薄く感じた。ボールが甘いところに入って15本もヒットを打たれた。自分のせいです」。0-1の5回、3本の長打で2点を失うと、打線も力みから好機で一打が出なかった。2回1死一塁、6回1死一塁で、ともに併殺打。上林弘樹監督(39)は「原田はよく投げてくれたし、勝たせてあげられなかったのは自分の責任」と険しい表情で振り返った。

 初の夏1勝には届かなかった。16年8月から4カ月の活動停止処分。現3年生は苦難を乗り越えてつかんだ、5年ぶりの聖地切符だった。酷暑の中、満足いく結果は出なかったが、ここまでたどり着いた選手たちに同監督は「プロに行くような選手はいないけど、泥臭くやる新しい北照らしさは出してくれた」と目を潤ませた。

 3月の八丈島合宿から、同監督は部長として春夏3度足を踏み入れた聖地の経験談を選手に伝えてきた。10年春に初めて聖地でノックした際、緊張で手に汗をかき、バットが手から滑り落ちた。同年は準々決勝に進出。3試合経験した中で気がついた聖地の特徴があった。「両翼は円山より短いがバックスクリーンが深い。だから左中間、右中間が広く感じる。特徴を頭に入れておけば、甲子園は広いとびびる必要はないよ」。そう聞かされ続けた選手は堂々とプレーした。

 「主将の三浦を中心にいいチームになった。もっと磨きをかけて、またここに戻って来たい」と上林監督。この日は母志都美(しとみ)さんの65歳の誕生日だった。あと一歩。この敗戦を糧に、来夏は選手をさらに鍛え上げ、忘れ物を取りに来る。【永野高輔】