来秋ドラフトは、才能豊かな高校生投手に注目だ。今夏の岩手県大会で最速157キロをマークした「みちのくの新怪物」大船渡の佐々木朗希投手(2年)を筆頭に、甲子園を沸かせた星稜・奥川恭伸投手(2年)、創志学園・西純矢投手(2年)など、全国にその名を知られた投手たちが覇を競う。大阪桐蔭の1強時代から戦国時代へ突入した高校野球。2019年も見逃せない。

9月16日、岩手・金ケ崎町野球場で衝撃は起きた。157キロ。盛岡三との県大会1回戦、1回裏2死満塁で大船渡のエース右腕・佐々木が自己最速を3キロ更新した。「目標は160キロです。その後のことは超えてから考えます」。岩手県高野連は「誤作動」としたが、163キロも計測。162キロも2度。甲子園経験のない「みちのくの新怪物」に集まった日米9球団のスカウトも驚いた。

189センチ、81キロの体格から左膝をゆっくり高く上げ、長い右腕をしならせる。力感はないが、ボールはうなりを上げる。対戦した元プロで専大北上の中尾孝義監督(62)は「江川卓級。球の伸び、手首の強さが一緒。突然変異」と称した。体の成長を考慮して制御してきた筋力トレーニングを昨冬から解禁。1年間で3センチ伸びた身長だけでなく、体重は10キロ増。「目標がないと頑張れない。プロを目指すと心に決めた」。来秋のドラフト最注目投手に名乗りを上げた。

エンゼルス大谷やメジャー入り目前の菊池を輩出した花巻東など、強豪私立からの誘いを断り「地元の三陸から甲子園」と仲間も誘った。1年夏に147キロでデビュー。今夏は154キロをマーク。結果だけを求めるのではなく、周囲は将来を見据えて、連投などの過度な負担は避けてきた。来春センバツに21世紀枠での出場も絶たれ、甲子園のチャンスは残り1度きり。「同世代には負けたくない。金足農のように地元を盛り上げたい」。大谷が高3夏に記録した高校生史上最速160キロ超えにも注目だ。【鎌田直秀】