近畿大会8強の市和歌山が3年ぶり6度目のセンバツ切符をつかんだ。昨夏、秋の和歌山大会決勝でいずれも敗れた智弁和歌山と初の同時出場となり、半田真一監督(38)は「智弁だけじゃないのを見せて、和歌山の野球を盛り上げたい。出るからには、優勝を目指す」と力強く言い切った。

前回センバツ準優勝の宿敵へ、5番を打つ上原拓海外野手(1年)も特別な思いを抱く。1学年上の兄、佑斗内野手は智弁和歌山2年。秋は兄が故障で記録員だったが、メンバー入りする可能性も高く「甲子園で試合しような」と誓い合ってきた。前夜は母が験担ぎで作ったカツ丼を和歌山市内の自宅で頬張り、サッカー日本代表が戦うアジア杯を見ながら「いよいよやな」と気持ちを高ぶらせた。上原は「『決まったで!』と伝えたい。お互いにベンチ入りしたい」。JRで5駅離れた智弁和歌山で吉報を聞いた兄も「2人で出られてホッとした。とにかく両親に感謝」と笑った。

近畿大会準々決勝は優勝した龍谷大平安にサヨナラ負け。接戦を制すべく、打力強化に励んできた。有功中(和歌山)で智弁和歌山・中谷監督の1学年後輩だった半田監督は「グラウンドでは先輩と思わず、しっかりと戦う」。まずは14年ぶりの春初戦突破へ、ギアを上げていく。【松本航】