私たちを遠征に行かせてください!全国高校女子硬式野球選抜大会(3月27日開幕、埼玉)に出場する札幌新陽女子野球部が、大会前の遠征費を工面するため、クラウドファンディングを行っている。昨夏、全国女子硬式ユース大会で4強進出するなど着実に結果を出してきた。今回は初の全国制覇を目指し、選手だけですべて企画し、14日から開始した。旅費、グラウンド代含め計129万円を目標に3月18日まで、広く資金を集めていく。

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選手たちで考えた渾身(こんしん)のタイトルで支援を呼びかける。札幌新陽女子野球部が始めたクラウドファンディングのテーマは「雪よりも泥にまみれたい!~ガチで獲ります四大会制覇」だ。四大会とは3月の選抜、7月の選手権、8月のユース大会と、選手権4強までが出場できる女子野球の頂点を決めるジャパンカップ。角泉美(かど・いずみ)部長(2年)は「まず春の選抜に勝たないと達成できない。そのために何とか目標額を集めたい」と強い口調で話した。

冬の北海道は、この時期、土のグラウンドで練習が出来ず、大会前3日間の埼玉遠征は土の感触をつかむ大事な準備期間となる。昨年は青山真里子コーチ(25)が企画してクラウドファンディングを実施。選手26人が大会前2日間の遠征に出るための資金約70万円を集めた。創部3年目の今春は、同コーチから「人に応援を呼びかけるにはどんな言葉をおくり、どんな準備が必要か。社会とのアプローチの仕方や言葉遣いなどを学べれば」と提案し、初めて一からすべて、選手が考えることになった。

全国初参戦の昨年に比べ、全国制覇を見据える今回は遠征人数を大会登録上限の30人に増やし、合宿日数も3日間に伸ばした。それに合わせ、目標額も計129万円に設定。お礼に送るメガホン、トレーナーなどのグッズの種類、デザインも、選手が考案した。開始後も練習時間に支障がないよう、昼休みなどに集まり随時、作戦会議。認知を広げるため、16日に札幌市内の飲食店にあいさつにまわり、ポスター掲示を呼びかけ、3月4日にはSTVテレビ「どさんこワイド179」に出演しアピールする。

主将の金(こん)桃花三塁手(2年)は「こうやって自分たちで多くの人に応援を呼びかけることで、絶対に勝って恩返しをしたいという気持ちが増している」と言う。女子高生がアイデアを駆使して、日本一へ駆け上がる。【永野高輔】

▽札幌新陽女子野球部は24日、活動を認知してもらおうと札幌駅南口広場で、約3時間のチラシ配りを行った。事前に自分たちで警察署に申請を出し、約2000円の納付金も納めた。金主将は「最初は緊張したけど、だんだんと、思い切って呼びかけることができた」と振り返った。部長の角は「興味を持って話を聞いてくれる人もいたので、これからですね」と手応えを感じていた。

▽札幌新陽女子野球部の冬場の練習は、通常は校内の体育館でテニスボールを使った打撃、廊下でのフィジカルトレーニングなどに限られている。現在は週2回程度、札幌白石区にあるカツウラ建機の室内練習場を使い、そのときだけ、硬式ボールを使った練習で調整している。石井宏監督(55)は「この時期にやれることはしっかりやっています。北海道の現状や、取り組みを、多くの人に知ってもらえたら」と話した。

◆クラウドファンディング詳細 札幌新陽の硬式ウェブサイト(sapporoshinyo-h.ed.jp)からアクセスし、女子野球部クラウドファンディングのページで申し込みができる。期間は3月18日の午後11時59分まで。

◆札幌新陽女子野球部 創部は17年4月で、初代監督に元プロ野球阪急の石井宏氏が就任。同年7月、全国デビューとなった全国高校女子選手権の1回戦で駒沢学園女(東京)に0-1と惜敗。18年3月、全国高校女子選抜1回戦で叡明(埼玉)に8-0で勝ち全国初勝利、2勝して8強。同年8月には全国女子硬式ユースで初戦を突破し、準々決勝で至学館(愛知)に5-3で勝ち4強に進出した。