二刀流で注目されている東邦(愛知)・石川昂弥投手(2年)が投打ともに順調な仕上がりを示した。12日、愛知県内で岐阜第一と練習試合。打っては3打数2安打、投げては6回から4回を1安打無失点と存在感を発揮した。試合は2-1で勝った。

「3番三塁」で先発した石川は初回にライナー性の中前打。4回に投手強襲打を放った。0-1の6回からはマウンドへ。リズムのいい投球で4回を1安打1四球で抑えた。石川の登板してから打線が2本塁打して逆転した。

9回、最後の打者を高めの直球で空振り三振にとった球がこの日最速の139キロだった。昨年144キロを出している石川は「今日はよかったです。球の回転もよかったし、(練習中の)チェンジアップもよかった」と納得した。打撃の方は「いい投手だったので、あれくらいは打てるようにしないと」。今月1本塁打を追加して高校通算40本塁打とした大砲は、甲子園を見据えた。

石川が言う通り、本番に向けて格好の相手だった。岐阜第一は昨秋の東海大会でも対戦した実力校。ただ、そのときは高倉明健投手(2年)が連投の疲れで本調子ではなかった。東邦・森田泰弘監督(59)が「東海地区では一番いい投手じゃないか」と評する右腕に、この日は打線が7回までわずか4安打で0封された。高倉の最速は143キロだった。

3番の石川と4番の熊田任洋(とうよう)内野手(2年)が強力打線の中心だが、相手のレベルが上がった場合の課題を残した。森田監督は「甲子園に行けばこれくらいの投手が投げてくる。やらせてもらえてよかった。うちは石川と熊田以外はこんなものです」と苦笑いした。

腎不全を患い、昨年12月に腎臓移植手術を受けた森田監督も元気な姿を見せた。約40日間の入院の末、1月に退院。ユニホームを着て本格的に指導を再開したのは今月8日からだが「体調はもう万全です」と笑顔。ベンチから大きな声を張り上げ、ナインに喝を入れた。「ダメだね。たるんでる。ゆるみ過ぎですよ」。ナインを見つめる目にも厳しさが宿っていた。