真颯館のプロ注目投手、武内未来(みく=3年)が、打席でアピールした。

2回に4-0とし、なおも2死一、二塁で迎えた第2打席。スライダーをとらえた打球は、試合を決める左翼越えの3ランとなった。「前の打席でスライダーをひっかけたので、スライダーを狙っていました。打った瞬間、行ったと思いました」。“エースで4番”の納得の一打で、九州工時代の1972年(昭47)春に挙げて以来の九州大会白星を引き寄せた。

左手首は万全ではなかった。春季福岡大会5回戦で死球を受け「骨にヒビが入っている」状態だった。それでも次戦の準々決勝では2安打を放ち「また死球を受けるのを避けるために」と、本来は右打ちだが左打席に立って安打を放った。この日は「痛みはなかった」としながらチームのために5回を3失点で抑え、自ら1発を含む5打点の活躍。末次秀樹監督(61)も「打つなと言っても打つ選手。うちは武内中心ですから。いいところで打ってくれました」と目尻を下げた。

2月下旬にブルペンで球速を計り「1球だけ150キロが出た」という。この日は左手首の影響からか「調子が悪く、140キロ出てないくらいだった」と投手としては不満顔だった。「明日(21日)も投手かどうか分かりませんが出場します」。骨に少々ヒビが入っていても、武内はチームのためにマウンドにも打席にも立ち続ける。【浦田由紀夫】