センバツ2回戦敗退の星稜が出直しの1勝を飾った。今春の甲子園以来の公式戦となる春季県大会に初登場。七尾に11-0で5回コールド勝ちした。

6月4日まで指導禁止処分を課されている林和成監督(43)に代わって山下智将(としまさ)部長(37)が代行で指揮した。山下部長は前監督の山下智茂名誉監督(74)の長男。

初回に内山壮真内野手(2年)の中前打で先制し、その後も主将の山瀬慎之助捕手(3年)のソロ本塁打などで毎回加点。11安打、11得点の猛攻だった。甲子園ではメンバー外だった左腕の安土慶投手(2年)が4回無失点と好投した。

初めて公式戦の指揮を執った山下部長は「生徒たちは最近の練習でも、試合が近づくにつれ気持ちがたかぶり、いい状態で試合に入っていた。普段通りの力を発揮してくれた。試合前にも思い切ってやりなさいと伝えた。もちろん北信越の優勝が目標なんですが、先を見ずに1戦1戦、戦っていきたい」と語った。

センバツ1回戦で履正社(大阪)を17奪三振で完封したエース奥川恭伸投手(3年)は投げなかった。奥川は「自分たちで考えることができないのがこのチームの弱さ。だから同じ負け方をする。対応する力がなかった。自分たちで考える、いい期間にしようと思っている。夏が終わったあとにこの期間がプラスになったと言えるように、監督さんが帰ってくるまで踏ん張りたい。周囲の声は関係なく、自分たちのやれることをやりたい。まず北信越のてっぺんを取れるように」と引き締まった表情だった。

山瀬は監督不在について「問題はそこではない。センバツで負けたのは自分たちのせい。内容を求めて、確実に甲子園に戻りたい」と、落ち着いてチーム力アップを図ることが必要と強調した。

林監督は3月28日のセンバツ2回戦で習志野(千葉)のサイン伝達(盗み)疑惑を主張。試合後に相手監督に直接抗議をするなど騒動を起こし、大会後に学校側から処分を受けていた。監督とともに懲戒処分を受けた山下部長は「監督ともども、自分自身が足元を見つめ直そうと思っている。生徒は甲子園で負けて出直ししたが、私たちも一から出直しという気持ちでやっています」と現状を語った。