高校野球歴代最速163キロを誇る大船渡(岩手)・佐々木朗希投手(3年)は4月30日、角館(秋田)との練習試合に出場した。明日2日は、今年初の公式戦に出場予定。三陸海岸に生まれ、日米のプロから最大級の注目を浴びる右腕は、東北悲願の「白河の関越え」にも挑み、令和の幕を開ける。

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栃木・作新学院時代に「昭和の怪物」ぶりを発揮した江川卓氏(63=元巨人、野球評論家)が、大船渡・佐々木朗希に「後継者」として熱いまなざしを向けている。「投球フォームを見ると、右肩の上げ方がとてもなめらか。肩をスムーズに上げる動作は、上手投げ特有のもので意外に難しいのだが、既に身に付いている感じがした。それに上背があり、角度と重力がついて直球のスピードアップにつながっている」と非凡さを指摘した。

体験談を交え、助言も送った。「今後、いろんなことが起こると思います。ただ、どんな時も自分の気持ちに純粋に、生きてほしい。そうすれば大抵のことは、はねのけられる。わたしの場合、騒がれることで、プレッシャーに負けない反発心が生まれたと思っている。春と夏にしか現れない“夢の場所”を、ぜひ見て来てほしい」。

同氏は、作新での3年間に完全試合、無安打無得点試合を計12回達成。73年(昭48)センバツでは「1大会通算最多奪三振」60個をマーク。この記録は今も破られていない。「わたしが奪三振、(平成の怪物と呼ばれた)松坂大輔君が(甲子園春夏)連覇、そして佐々木投手は球速で。(怪物それぞれの)特長が三者三様なところに、時代の変化を感じます」と続けた。【玉置肇】