加藤学園の内田武蔵投手(3年)が、エースの座を目指して奮闘している。春は背番号「10」で出場。チームは県準優勝を果たすも、納得のいく投球は出来なかった。夏に向けてフォームを矯正。腕の位置を下げ、球威も戻ってきた。春夏通じて初の甲子園に向け、活躍を誓った。

加藤学園の内田は、春の大会で不完全燃焼に終わった。「先発を任せてもらう試合が多かったが、序盤に失点することが多く、迷惑をかけてしまいました」。県大会決勝の浜松商戦でも先発登板。制球に苦しみ、2回途中2失点で降板した。チームはその後も追加点を奪われ、5-13で大敗。初優勝を逃した。「不調から来る不安を抱えたまま、登板してしまった。春は、100点満点中10点です」と振り返った。

春は背番号1をつけた肥沼(こいぬま)竣投手(2年)が、ロングリリーフして勝利する試合が目立った。大会後、米山学監督(41)は「肥沼に続く、投手陣の層の厚さが課題」と指摘。内田は「肥沼に頼ってばかりだった。結果が出ていないので、言われて当たり前です」と受け入れた。

内田は夏に向けて投球フォームを根本から見直した。春までは上手投げだったが、腕の位置を少し下げ、スリークオーターに変更。「以前よりも(ボールが)指にかかる感じ。回転数も上がりました」。さらに横の角度が出たことで、左打者の背中から食い込むような球筋も手に入れた。今月8日の星城(愛知)との練習試合では、2番手で登板し、4回を無失点。指揮官から「下を向かずに努力を続けていた。今は背番号1を肥沼と争っています」と評価された。春の悔しさをバネに調子を上げ、エース争いを演じている。

16年ぶりのシードで臨む夏の初戦は来月15日、城南静岡と清水東の勝者と対する。内田は「3年生として、1番へのこだわりはある。マウンドに立ったら、チームを勢いづける投球をしたいです」。復活した左腕が勝利のために腕を振る。【古地真隆】

◆内田武蔵(うちだ・むさし)2001年(平13)7月1日、東京都あきる野市生まれ。名前は、出身地の旧国名「武蔵国(むさしのくに)」から。西秋留小2年から野球を始める。中学時代は瑞穂シニア(東京)に所属し、加藤学園高に進学。家族は母、弟。172センチ、76キロ。血液型B。左投げ左打ち。