勝てなかったが、野球を通じて人として成長した。渋谷教育渋谷(東東京)の先発、福田紘介投手(2年)は、4回1/3を投げて9安打3四死球7失点。「試合を作れなかった」と悔やんだが、それでも奮起できたのは高橋正忠監督(40)の教えがあったからだ。

中学時代は「頑張っているから応援されて当たり前」と思っていた。その考えを変えてくれたのが野球、監督だった。練習メニューも選手の自主性に任せられているからこそ、野球を通じて、考える力が身についた。何をどうすれば応援される野球ができるかを考え続けた。「言葉ではなく野球を通じて『応援のありがたさ』を気づかせてくれた」と、監督に感謝と尊敬の念を示した。

5回コールド負けを喫したが、アウトを1つ取るたび、スタンドから割れんばかりの声援と手拍子が響いた。「応援されるにふさわしい人間」に成長できた。