3選手の派遣協力を得た大島(東東京)が明大中野を5-0で破り、初戦を突破した。

登録部員7人に、文京からの「助っ人」を加えた10人での出陣は、3点リードの5回、エース荒田奏斗投手(3年)が突然、両足のけいれんを訴えるアクシデントに見舞われた。控え不在、没収試合が心配された中、打線が援護し、エースも痛みに耐えて151球を投げ抜いた。昨年は部員11人で4回戦に進出したが、7人の今夏も一致団結して勝利をつかんだ。

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5回2死、打席の荒田が2球目を見送った直後、突然両足の痛みを訴えた。動けない。チームメートに抱えられてベンチに戻った。この時、ネット裏の大会本部席で、こんな声が上がった。「大島には、もう選手がいません」。

3回終了時に一塁手が守備交代した。すでに10選手が出場し、交代要員はいなかった。今春入部した1年生2人は股関節のケガ、体力不足で登録を外れた。残る7人に派遣3人を加えての参加だった。ベンチ裏では水分補給する荒田の足を、天野一道監督(50)と次の試合の出番を待っていた芝浦工大付の八木久則助監督がマッサージした。

荒田は昨夏の初戦(対大森)でもけいれんに見舞われた。このチームでの実戦は6月に練習試合を2試合行っただけだった。天野監督は「荒田が出られなかったら棄権だと思いました。センター(里見晃太郎=3年)も投げられますが、やったことないですし」。中断7分の後、荒田がグラウンドに戻った。「(投手が)いないんで、自分が投げきるつもりでした。よく守ってくれたんで」。失策0。6回は無死一、二塁。7回は2死一、三塁。8回には1死二塁とピンチの連続だった。それでも被安打5、6奪三振で完封した。

7回に2点適時打した佐藤真美捕手(3年)は「荒田は硬かった。なんとか打って、リードできたんでよかった」と喜んだ。次戦は15日の立正大立正戦。天野監督は「宿舎で夕食をとってから夜の船で帰ります。次も厳しい戦いになると思います」。島到着は12日朝6時。14日には2度目の出陣となる。【米谷輝昭】

◆連合チームの大会参加 日本高野連は部員不足校の選手にも機会を与えようと12年に、連合チームでの大会参加を認めた。原則として8人以下のチームが2校以上で連合し、参加できる。連合を組めない部員不足校も他校からの派遣協力を得て出場できる。大島もその1つで、この場合、部員が最低5人以上在籍し、他校からの借り受けを含めたチームの部員数は10人までとしている。

◆没収試合 野球規則7・03(b)で、9人を位置させることができなければフォーフィッテッドゲーム(没収試合)で相手の勝ちになると規定している。16年秋季東京大会1次予選では、登録9人の広尾学園の投手が試合中の負傷でそのままマウンドに戻れず、9-0で相手・駿台学園が勝利した例がある。甲子園では過去1度もない。