「この学校に来て一番熱い試合だった。本当よかった」。4回戦に進出した日体大荏原(東東京)の相原健志監督(52)はロッカー前で号泣した。

昨夏からなかなか主将が決まらない中、立候補したのが松原隼矢投手(3年)だった。春まで背番号「1」のエースだったが、今夏の「1」は2年生の宮下大地投手が背負う。相原監督は、この日公式戦初完投した宮下をねぎらって、続けた。「松原は主将も練習も頑張ってるのに夏は背番号は10番で…。悔しかったと思う。それでも今日もベンチから声を出して頑張ってくれた。その松原がさっきミーティング始めたら、突然泣きだすから。チーム全員もらい泣きです」。さらに涙が止まらなくなった。

松原にとっては最後の夏。投げられない悔しさがある中で、チームの勝利を優先する選手に成長した主将の姿が、相原監督の号泣の裏にあった。【加藤理沙】