163キロ右腕との再戦はかなわなかった。盛岡一の4番打者・高橋怜大(れお)内野手(2年)は「2試合で6安打しましたが全部単打。4番として最低限の仕事しかできなかったです」と唇をかんだ。

10日前のホームランボールは実家に飾ってある。大船渡との練習試合の第3打席、佐々木朗希投手(3年)からレフトへ本塁打を放った。高めから入ってくるスライダーを、豪快にひっぱたいた。「両親も喜んだというか、すごく驚いて。とても自信になりました。余裕が持てるようになりました」。

佐々木との対決のことはありありと思い出せる。「打席ですごく集中できていたんです。あんなの初めてです」。だから悔しい。この日は2点差を追う9回1死で打席が回った。是が非でも出塁したい場面。それなのに追い込まれ、ボール球のスライダーに手を出してしまった。「まだまだです」と声を曇らせた。

まだ2年生。あと1年ある。「一関学院さんには3年生の借りを返したい。公立校として甲子園に出場して、先輩たちの悔しさを晴らしたい」と志す。そして一打者としての目標も掲げた。「いつか6大学野球、プロ野球でプレーできるよう、そういう打者に成長していきたいです」。

明確な決意をもって「佐々木朗希からホームランを打った男」の、高校最後の1年が始まる。【金子真仁】