古川黎明(宮城)のエース青木宙夢(ひろむ)投手(3年)が、9回6安打2失点10奪三振の力投で、開幕戦を勝ち勢いに乗る泉を振り切った。

1回に2点を失うも立ち直り、144球の熱投。小中学生時代に自らがエースでバッテリーを組んでいた古川・千坂優斗投手(3年)との直接対決を待ちわびつつ、まずは同校初の夏2勝で新たな歴史を作るつもりだ。

     ◇    ◇    ◇

古川黎明・青木が粘りの投球で初戦を突破した。9回表2死一、三塁。強烈な打球を必死にグラブではじきアウトにすると、右手で胸を押さえながらホッとした表情を見せた。「どんなに打たれても、最後に本塁を踏ませなければいい」とエースの自覚を漂わせた。

ライバルから刺激を受けた。宮城を代表する右腕、古川のエース千坂とは田尻小、田尻中とバッテリーを組んできた。青木がエースで千坂が捕手。千坂が投げる時は青木が捕手に入れ替わった。中学の卒業式ではお互い健闘を誓い合い別の高校に進んだ。

しかしすぐに立場は逆転した。昨年8月の秋季地区大会では2-5で敗れた。「完全に力負けでした」。意識の差も痛感した。試合前に雨が降る中、当たり前のようにブルペンで投球練習を始める千坂がいた。「自分はそれから始めた。それじゃダメなんです」。古川は東北大会4強まで上りつめ、センバツ21世紀枠の候補に選ばれるまでに躍進した。「千坂が成長すればするほど自分も燃えてきた」。以来、きつい練習からも逃げなくなった。「期するものがあったんでしょう。それまではどこか追い込み切れない部分があった」と青山隼人監督(39)。瀬ケ沼涼太主将(3年)も「1人でずっと走り込んでいた」と認める変化だった。

最後の夏の第1目標はチーム初の2勝だ。「自分にもプライドはある。最後は直接対決で勝ちたい」。お互いに勝ち上がれば、古川とは準決勝で当たることになる。自らの成長も証明してみせる。【野上伸悟】

▽女子部員の宮越姫内野手(2年)が、応援席から後方支援した。試合前はシートノックでボール渡しを担当。4歳上の兄の影響で小2から野球を始めた。古川黎明中には野球部がなかったため、野球に動きの近いバドミントン部。父と自主練習を行いながら高校で念願の入部を果たした。男子と同じメニューをこなし、練習試合では二塁を守り安打も放っている。「次もスタンドから声を出して選手の背中を押したい」。